不快指数冷房とは、不快指数を基準とした冷房のことであり、下図のように、温度を下げ、湿度を下げないことで、節電しながら(エンタルピーを下げず)、快適性を保つ(不快指数を下げる)冷房法である。

夏になると、「室温は28℃」を唱える“28℃バカ”が大量発生して、快適さを犠牲に節電を強いる。ただでさえ、不快指数が高いのに、さらに不愉快にさせる。
人間の快適/不快を数値化したのが不快指数であり、これが75を越えると、ほとんどの人が暑さを感じるようになる。下表は、2008(平成20)年8月の午後2(14)時の温度・(相対)湿度・絶対湿度・不快指数・エンタルピーを示しているが、15日は、温度が27.4℃と低いが、湿度が84%と高く、不快指数は79.3と、かなり暑い(蒸し暑い)。

温度を基準に冷房をするなら、28℃より低いので、冷房は入れられず、不快な状態におかれる。しかも、たんに不快なだけでなく、汗が蒸発しないので、体温を下げられず、熱中症になる危険性もある。
そこで考えられたのが、不快指数を基準とした冷房である不快指数冷房である。下図は、縦軸に気温、横軸に(相対)湿度をとり、それぞれの組み合わせの上段に不快指数、下段にエンタルピーを配置している。エンタルピーとは、この場合、空気がもっている熱量のことで、エアコンは、これを下げることで、冷房している。

同じ不快指数75なのに、温度と湿度との組み合わせによって、エンタルピーが異なっているのがわかる。温度28℃で湿度45%のときは55.26kJ/kgだが、27℃で55%のときは58.46kJ/kgである。エンタルピーを下げるには、その分、エネルギーを消費しなければならない。55.26kJ/kgに下げるよりも、58.46kJ/kgに下げる方がエネルギーを消費しない。つまり、温度を下げ、湿度を下げないことで、節電しながら(エンタルピーを下げず)、快適性を保つ(不快指数を下げる)ことができるのだ。

エアコンには、温度と湿度を両方設定できる機種と、温度だけ設定できる機種がある。前者なら、温度低め/湿度高めに設定すればよく、後者なら、温度湿度計で確認しながら、どの温度に設定したら節電できるか、試してみればよいのだ。
不快指数冷房についてもっと知りたい人は、つぎのサイトを参考にしてほしい。
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快適性と省エネルギーを両立させる空調|東京都環境局 気候変動対策
posted by 王子のきつね at 19:00|
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